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インプラント手術後の過ごし方|飲食や生活の注意点&痛みの対処法
インプラント手術をすると、食事や日常生活での制限があります。
外科手術となりますので、傷口の回復を早めるためにも医師の指示にはしっかりと従ってください。
「制限がある」とはいうものの、難しいものではありません。
「なぜこうしなければいけないのか」という理由を理解していただければ、納得していただける内容ばかりです。
インプラントの寿命に影響すると言っても過言ではない、インプラント手術後の過ごし方について、お伝えします。
インプラントの手術後の過ごし方が重要な理由
インプラントの手術は外科手術を伴うため、手術後の過ごし方にいくつか注意が必要です。
このような理由があり、インプラントの手術後には生活に制限があります。
- インプラントと骨を結合させるため
- 傷口回復を早くするため
- 腫れや痛みを感じた際の薬の効き目を保つため
- 将来的にインプラントの寿命を長くするため
インプラント治療は手術が終わったら完成ではなく、手術後1ヶ月が最も大切な時期だといわれています。
インプラントと骨が結合するまで、3ヶ月~6ヶ月程度の時間が必要です。
長く快適にインプラント生活を続けていくためにも、手術後の過ごし方を間違えないようにしましょう。
【飲食】インプラント手術後の過ごし方
インプラント手術直後は、麻酔が切れたら飲食が可能となります。
手術は口の中なので、飲食に関する注意点がいくつかあります。
- 硬い物や刺激物を控える
- 患部の使用を控える
- アルコールを控える
硬い物や刺激物を控える
インプラントの手術後は、口の中に刺激を与える硬い食べ物や刺激となる食べ物は避けるようにしてください。
ナッツ類やフランスパンといった硬い食べ物、わさびや唐辛子といった辛い食べ物は、選ばないようにしましょう。
傷口が回復していない状態でこのような食べ物を口にすると、出血や腫れ、痛みの原因となります。
柔らかく刺激の少ないスープやゼリー、うどんやおかゆなどがおすすめです。
熱すぎる、冷たすぎるという状態も刺激となりますので、常温に近い温度にしてから口にすると安心です。
患部の使用を控える
食べ物を噛む際には、できるだけ患部をさけてください。
傷口や炎症の回復のため、特にインプラントの手術後1週間は注意が必要です。
出血や痛み、腫れなどがあると、回復までに時間がかかる恐れがあります。
アルコールを控える
アルコールは血行を促進しますので、痛みや炎症を誘発する恐れがあります。
コーヒーも同様の理由で傷口の治りを遅くする可能性があるため、インプラントの手術後は控えるようにしましょう。
アルコールは手術後1週間程度で飲めるようになりますので、しばらく我慢してください。
【生活】インプラント手術後の過ごし方
インプラントの手術後は、生活面でも留意していただきたい点があります。
「なぜ入浴や運動がいけないのか」「なぜ睡眠をとるべきなのか」といった、理由も理解しておくといいでしょう。
- 入浴や運動について
- 歯磨きなどのオーラルケア
- 仕事復帰について
- 睡眠をしっかりとる
- 喫煙しない
入浴や運動について
入浴や運動は血行を促進する活動であるため、インプラントの手術後は行わないようにしてください。
手術直後の2~3日は入浴せずにシャワーで済ませる、運動はウォーキングなどの軽い運動も控えると安心です。
手術から時間が経ち、傷口の経過とともに動きの制限が緩和されていきます。
家事のような動きが少ない活動であれば問題ありませんが、ゆったりと過ごし、無理をしないようにしてください。
歯磨きなどのオーラルケア
口腔内を清潔に保ちたいという気持ちが強くなっている時期かもしれませんが、強いブラッシングは傷口への刺激となりますのでNGです。
しかしだからといって全く歯磨きをしないわけにはいきませんので、柔らかいブラシで優しく磨くようにしましょう。
傷口が気になるかもしれませんが、舌や手で触らないようにします。
手術後10日~2週間程度で抜糸がありますので、医師の指導にしたがって口腔内のケアをしていきましょう。
仕事復帰について
日常的な家事やデスクワークといった動きが少ない仕事であれば、一般的に制限はありません。
ただし出血や痛みがある場合は、体を動かすハードワークは控えた方が安心です。
休みがとれない事情があるかもしれませんが、お伝えしている通りインプラントは手術後が大切な期間となります。
ハードワークをされている場合は、手術のスケジュールを組む時点で、お休みを確保しておくなどの対策をして、ゆっくり過ごせるように準備しておきましょう。
睡眠をしっかりとる
仕事ができる日常となるとついつい睡眠時間を削ってしまいがちですが、インプラントの手術後は睡眠をしっかりとって体力回復できるように努めましょう。
夜更かしをやめて、早めにベッドに入るようにします。
睡眠時間を確保すると免疫力がアップしますので、リラックスした状態でグッスリ眠れるような環境を整えていきましょう。
喫煙しない
喫煙は血の巡りを悪くしますので、傷の治りに時間がかかるようになってしまいます。
インプラントと骨が定着しにくくなる原因にもなりますので、喫煙は控えてください。
手術後だけ禁煙すれば良いというわけではなく、今後もタバコは吸わない生活が望ましいです。
喫煙者は非喫煙者に比べると、インプラント治療の失敗率が高くなる傾向があるためです。
せっかく外科手術までして入れたインプラントなので、できるだけ長持ちさせられるように禁煙していきましょう。
インプラント手術後の痛み
インプラントは歯茎を切開しますので、痛みや腫れが起こります。
手術直後の痛みや数年経ってからの痛みは原因が異なりますので、原因や対処法についてお伝えします。
- インプラント手術直後の痛み
- 術後から抜糸までの痛み
- 傷口に血の塊ができてしまった場合
- 人工歯を入れてからの痛み
- 手術後数年経ってからの痛み
インプラント手術直後の痛み
インプラント手術直後、麻酔が切れた後は多くの患者さまが痛みを感じます。
手術後2~3日は炎症が起こりやすい時期なので、医師の指示に従って鎮痛剤を服用していきましょう。
1週間程度で痛みが治まっていきますが、痛みが長引く場合は受診して状況を確認してもらいましょう。
術後から抜糸までの痛み
インプラントの手術直後から抜糸までの、手術後10日~2週間程度の期間に痛みを感じる患者さまもいます。
多くの場合が一過性のものであり、自然と痛みが気にならなくなるケースが多いです。
まだ傷口が治癒しきっていない場合がありますので、違和感があるからといって歯ブラシや舌で触らないよう意識しておきましょう。
傷口に血の塊ができてしまった場合
インプラントの手術後1週間程度は、歯茎の細胞が再生しようと働いています。
傷口に血餅(けっぺい)という血の塊ができる場合があり、これはかさぶたのような役割をしています。
止血の働きがあり、細菌の感染を防いでくれていますので、無理にはがさないようにしましょう。
無理やりはがすと、傷口の治りが遅くなってしまいます。
人工歯を入れてからの痛み
インプラントの上部構造である人工歯を入れてから痛みを感じるという場合は、噛み合わせが原因かもしれません。
高さが合っていない、隣の歯に干渉しているという理由で、痛みを感じるケースがあります。
人工歯の高さやサイズを調節すれば解決しますので、歯科医院で相談しましょう。
手術後数年経ってからの痛み
インプラントの手術をしてから何年か快適に過ごしていたとしても、痛みが出てくる場合があります。
インプラント周囲炎とは、インプラントを支える歯周組織が炎症を起こしている状態です。
インプラントの歯周病と表現されるもので、重度の場合はインプラント脱落の原因となるかもしれません。
手術後の定期的なメンテナンスや毎日のセルフケアが重要なので、手術後はどれだけ時間が経っても丁寧にケアを続けていきましょう。
インプラント手術後の痛みへの対処法
インプラントの手術後に、腫れや痛みが出るのは珍しい症状ではありません。
ご紹介したように、血行を促進するような活動、飲食物を控え、安静に過ごすのが第一です。
腫れが気になる場合は、頬側から冷やすという対処法もおすすめです。
保冷剤や氷は冷えすぎてしまいますので、濡れタオルやひえピタ等を活用してみましょう。
病院で処方された鎮痛剤を使用しながら、安静に過ごしてください。
インプラント手術後に摂取したい栄養素
インプラントの手術後は、インプラントと骨の結合を促すために食事内容も意識していきましょう。
以下のような栄養素を摂取し、体の中から回復していけるよう食事でもサポートしていきます。
- 骨を形成するカルシウム
- 傷の回復をフォローするたんぱく質・亜鉛
- 免疫機能を向上させるビタミン類
骨を形成するカルシウム
骨の再生のためにカルシウムが必要です。
カルシウムを吸収するためには、ビタミンDが必要なので合わせて摂取できると理想的です。
カルシウムは乳製品や豆製品に多く含まれていますが、例えば牛乳だけをたくさん飲めばカルシウムが摂取できるというわけではありません。
ビタミンDはきのこ類や魚介類に多く含まれていますので、わかめやあおさの味噌汁といったメニューを上手に献立に取り入れていきましょう。
傷の回復をフォローするたんぱく質・亜鉛
たんぱく質は、体を作り、傷口の回復を促す効果が期待できます。
亜鉛は皮膚の細胞の再生を早める、皮膚を強くするといった働きがあります。
魚介類や貝類に亜鉛が豊富に含まれていますので、普段は肉メインの食事が多くなりがちという方も魚介類を意識的に摂取していきましょう。
免疫機能を向上させるビタミン類
野菜や果物に多く含まれるビタミンC、レバーや人参に多く含まれるビタミンAには、免疫効果を向上させる効果が期待できます。
インプラントの手術直後は硬い食べ物は食べられませんが、ジュースであれば果物の栄養を手軽に摂取できます。
ジュース1本を選ぶだけだとしても、栄養素を意識してみると選ぶ物が変わってくるかもしれません。
インプラント手術後に注意したい違和感
お伝えしたようなインプラント手術後の過ごし方をしっかりと守っていたとしても、違和感を感じる時があるかもしれません。
以下のような症状があれば、すぐに歯科医院に連絡をしてください。
- 痛み止めが効かない
- 下唇が痺れる
- よだれが止まらない
- 鼻から血や膿が出てくる
治療部位や周辺で問題が起きている可能性があります。
処方されたお薬が合っていない可能性もありますので、症状が悪化する前の受診が必要です。
まとめ
インプラント手術をした後は、食事や生活といった場面での注意点がいくつかあります。
注意しなければいけない事柄だけでなく、なぜ制限があるのか、という理由まで納得していただければ、これらの注意事項は守っていただけるでしょう。
インプラントの寿命は、個人差があるのが現状です。
手術後の過ごし方、毎日のセルフケアが寿命に影響していると考えていいでしょう。
インプラント手術後のこのような生活の制限は、期間限定のものです。
また好きな物を好きなだけ食べられる生活に戻れますので、インプラント治療期間は集中して取り組むようにしてください。